第2章 初期刀
足早に案内して貰っているのだが、とにかく広い。
裏庭…と言っていたが、小高い丘に、大きな木まで見えるのだが。
明らかに庭の範疇を超えている。
「あとは…稽古場。アンタにはあんまり関係ないと思うけど」
「…立派な道場だな」
「まぁね。…さ、後はアンタの部屋まで案内して終わり。ほら、行くよ」
「あぁ…」
これまた立派な部屋に案内して貰い、好きに使って良いと言って貰えた。
それだけ伝えると、加州くんはさっさと自室へ帰って行った。
「なぁ、こんのすけ。一つ聞いても良いだろうか?」
「なんなりとお聞きください!!」
「…案内して貰っている最中、他の刀剣男士に…一振りも出会わなかったのだが…」
「あぁ、やはり気付かれておりましたか…」
こんのすけは私の正面に向かい座った。
「実は、他の刀剣男士の皆様は、前の主様によって刀へ戻されてしまったのです」
「…兄様は何故、そのような事を…」
「…分かりません。ですが、主様は言っておられました。刀剣男士達を、”守る”為であると」
「そうか…。兄様らしいな」
そして、加州くんは兄様の初期刀でもあり、そんな彼に兄様は。
「お前にばっかり大変な事を頼んでごめんな。を…妹を、頼んだぞ」
そう、言い残したそうだ。
兄様は、先を見通す力が優れていた。
だから、分かっていたのかもしれない。こうなることを。