第12章 霊力 ★
「今日はあんまり月見えないね」
「あぁ…そう、だな…」
いつもなら、会話がずっと続くのに。
今日は、沈黙が長く訪れた。
「清光くん…、何も、言わないのか…? 最近の不甲斐ない私に、文句の1つでもあるだろう…?」
きつく糾弾される事を願った。
「何をやっているのか」と。
でも、彼ときたら
「別に文句なんて無いんだけど? 今日は随分とネガティブじゃん??」
なんて言って笑うのだ。
そんな彼を見て
一筋、涙が頬を伝った。
「ねぇ主。主はさ、1人で何でも抱え込み過ぎなんじゃない? 俺さ、たまには主に頼られたいんだけど」
「清光くん…」
「今は二人しかいないじゃん? みんなもう寝てるしさ。だから…周りは気にせず、話せる事もあるかなーって思ったんだけど。話したら楽になる事もあるしさ…」
「…清光くん…」
不思議なことだ。
ただ、隣にいて声を聞いているだけで、楽になる。
…いや、不思議な事なんて無いか。
ここへ来てからずっと傍にいて、支えてくれたのは
初期刀である彼なのだから。
私は、決めた。
「…清光くん、話を聞いて貰えるだろうか?」
「どうしたのそんなに畏まってさ、聞くに決まってんじゃん?」
「実は…」
私は、遠征での出来事を詳細に話した。
「…なるほどね。最近らしくないなぁって思ってたけど、そーゆーこと」
「あぁ…。すまない…」
「謝んないでよ、ほら、顔上げて?」
「…清光くん、私の霊力を取り戻す為に…協力して貰えないだろうか…」
「…それって…」
言葉に詰まる清光くんに、私は深く頷いた。
「…いいの? 俺で?」
伏し目がちに、急に自信の無い声色でそう尋ねた彼に応えるように
私は自ら唇を重ねた