第10章 花見 ★
「では、私が買って来よう」
「ちょ、主が行くなら俺も…」
「いや、この長谷部が同行致します!」
「子供であるまいし、一人で大丈夫だが?」
「って言ってどうせ迷子になるでしょ!!」
「む…」
「へぇ、あんな簡単な道で迷子になるとは、そりゃ驚きだ♪ 俺が一緒に行ってやろうか?」
「えー、ボクもあるじさまとおかいものいきたいです!!」
「じゃあ、ジャンケンする?」
「望むところ…」
皆が円になりジャンケンを始めようとした所で。
「万屋ならボクが一緒に行くよ。あそこのポイントカードがあるからね。確か、今回の買い物で全部貯まるんだ♪」
「へぇ、そんなものがあるのか。では光忠くん、共に行こうか」
「ポ…ポイントカード…」
ポイントカードに敗北感を現すジャンケン円陣組を置いて、万屋へと向かった。
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「おやまぁ、今日は女の子と一緒なんだねぇ! もしかして、彼女さんかい?」
「えっ…? えっと…///」
「お初にお目に掛かります。私は彼らの主をしている者で御座います。いつも皆がお世話になっております」
「あらあら、ご丁寧にどうも。素敵なお嬢さんだねぇ」
「そんな、まだまだ未熟者です」
ご店主のお婆様にご挨拶を済ませ、光忠くんとお酒を見る。
私はお酒には疎いので、光忠くんが主に選んでくれた。
たまに料理酒も見ているところが光忠くんらしいな。
「うーん…ちょっと高いけど、次郎太刀くんなら大丈夫かな」
「値段なら気にしなくて良いぞ?」
「あぁ、値段は勿論考えてるけど、今のはアルコール度数の話だよ」
「へぇ。それぞれ違うのだな?」
「うん。主はまだ未成年だから…大人になったらまた教えてあげるね」
「うむ、お願いしたい」
お酒でいっぱいになったカゴを店主の所まで持って行った。
そして、例のポイントカード。
空欄が可愛いスタンプで埋められ、見事に完成した。
とても失礼ながら、光忠くんには似つかわしくないな、ポイントカード…(笑)
「いつもありがとうねぇ。カードが貯まった事だし…あぁそうだ、お嬢さんにこれをあげようかねぇ」
可愛い小瓶に入った、透明な液体を受け取った。