第10章 花見 ★
「主、ここに居たんだ?」
裏庭の、小高い丘の上の大きな桜木。
この間蕾をいくつか見付けたが、今日、一斉に咲いたようで
「見事だな…」
ずっと、眺めていた。
「でしょ。毎年さ、この桜の木の下で花見してたんだよね。…今年もやらなきゃね、花見」
「それは楽しみだ」
「ん。俺も」
風に吹かれる桜に名残惜しく背を向けて歩き出す。
「ねぇ主、鍛治場に行くって言ってなかった?」
「……そうだが?」
「だから!いい加減覚えてよね!! 折角いい感じの雰囲気だったのにさぁ!!」
「むむ…相変わらず難解な屋敷だ…」
呆れ顔の清光くんに案内してもらい
鍛刀を行って。
鶴丸国永
次郎太刀
山姥切国広
この三振りが新たに仲間になった。
「鶴さん! また会えて嬉しいよ♪」
「おぉ光坊♪」
「ねぇねぇお酒は無いのー?」
「アンタはいつもそれだな」
「そりゃアタシとポン酒ちゃんの仲だもの♪」
「こんな昼間っから飲む気か…?」
「いーじゃない! あ、じゃあ花見ってのはどうだい?? 折角桜も咲いてるんだし♪」
「全く次郎太刀ときたら……良い事しか言わないな!!!」
「でしょ??」
それから鈴が大きく鳴って、全員が集合し
花見が始まった。
お酒を嗜む次郎くん、兼定くん、鶴丸さん。
料理を作ったり運んだり世話を焼いてくれる光忠くん、歌仙さん、堀川くん。
美味しそうにお団子や料理を食べる安定くん、今剣くん、乱くん。
食べ過ぎに注意を促す清光くん、薬研くん、長谷部くん。
静かに桜を観賞する山姥切くん。
それらを見ていて、自然と笑みが溢れる。
きっと…兄様もこんな気持ちだったのだろうな。
「あら? お酒が…。じゃんじゃん持って来~い♪」
「それで最後だって言ったじゃないか(笑)」
「な!? 今…私が最も聞きたくない言葉!!!」
泣き崩れる次郎くん。
本当にお酒が好きなんだな…(笑)