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とうらぶ夢倉庫(長編館)

第8章 手入れ (☆)





曲がり角に差し掛かったところで
俺は耳を疑った






『-っあ、そこ…だめぇ…っ』
『ダメじゃねぇだろ大将?』








…なっ……
ななななななんだこのイカガワシイ会話は!!??


ま…待て、落ち着け長谷部!
も、もう少し様子を伺って…








『あっ…、いっ…痛いっ、いやっ』
『痛いのは最初だけだぜ大将、すぐに…良くなるから…我慢、な』
『やっ、やぁ…』
『ほら、力、抜けよ…』
『はあっ、はっ…む、無理…っ、~っ、あぁっ』



「薬研!!!貴様!!!叩き切る!!!!!」






たぁんっ!!!



と勢いよく襖を開ければ…






主と薬研が同時に俺の方を見た





「長谷部…くん?」
「あ…主…それは……」
「今、大将に塗り薬を塗っていたところだが?」
「塗り…薬…」
「これが…酷く傷に染みてな…痛いんだ…辛い…」
「ダメだぜ大将、これが一番傷に効くんだからな。…で? 長谷部の旦那は一体ナニだと思ったんでぃ?(ニヤニヤ)」
「くっ/// 薬研貴様…間際らしい言い方をして…」
「何の事だかな?」
「…お、長谷部くん、その手に持っているのはもしや…」
「はっ!! そ、そうです!! 主の羽織をお持ち致しました!!」
「そうか…嬉しい、ありがとう」
「主…///」



あぁ…主の笑顔はまるで女神のようだ…///




「さて、では羽織を受け取った事だ…長谷部くん、戻ってくれるか? 流石に…この姿を人に見せるのは少し恥ずかしいのでな…」
「いえ、恥ずかしがることは御座いません。主はいついかなる時も美しく…」
「帰れ」






長谷部、退場。







「じゃ、続き、始めるぜ?」
「はぁ…これも試練だな…」




気は全く進まないが、これも傷を治すため。
私は気合を入れて塗り薬に耐えた










「っと。こんなモンか? よく頑張ったな、大将」
「…っはぁ、はぁ…やっと…終わった…」
「……大将」
「ん? なんだ薬研く…んっ!?」




首筋に、ぬるりとした感覚
ぞくぞくっと身体が跳ねた




「薬研くん…? っあ、そ、そこは怪我など…っ///」
「あぁ、そうだな…」
「ひゃあっ///」



今度は耳元で囁かれ、驚きのあまり自分でも聞いたことのない声を出してしまう






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