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とうらぶ夢倉庫(長編館)

第8章 手入れ (☆)




「…ん…」
「お目覚めか、大将」
「薬研くん…?」



頭がボーっとする中、私を覗き込む薬研くん越しに見知らぬ天井を見ていた。
私の部屋ではなさそうだ…



「ここは…?」
「あぁ、大将は初めてだろうな。ここは手入れ部屋だ。傷付いた刀剣を治す所だな。…まさか、大将の手入れまですることになるとは思わなかったが」
「う…すまない…。……っ!! 皆は!!??」
「安心しな。皆折れずに帰って来たぜ」
「そうか…良かった…痛っ!?」
「ほら、無理すんな大将。傷は塞がったとはいえ、まだまだ治療が必要だからな」
「うぅ…」
「此処でもう少し大人しくしてるんだぜ?」
「何処かに行くのか?」
「あぁ。大将が目覚めた事、皆に知らせねぇとな。皆、酷く心配してたんだぜ?」
「…そうか。それは申し訳なかった…。でも、嬉しいものだな」
「出来れば、そういう心配事は今回だけにして欲しいんだが?」
「…気を付けよう」






「全く…」と言いたげな、でも優しい笑顔を見せて、薬研くんは静かに出て行った。











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「お、長谷部の旦那、丁度良かった」
「や…薬研!! 主は!? 主の容体は!??」
「落ち着け旦那。つい今しがた、目覚めたぜ」
「本当か!?? あぁ…主…良かった…」
「じゃあ、伝えたからな。俺は大将の治療に戻るぜ」
「まだ治療が必要なのか…」
「あぁ。夕方には終わる。…皆に伝えるのは治療が終わってからでも良いかもな。あまりバタバタと手入れ部屋に入って来られたら治療どころじゃねぇし」
「そうだな。治療が終わるまで、このことは伏せておこう」
「あぁ。そっちは任せたぜ」







そう言って、薬研は手入れ部屋に戻って行った。


あぁ…主…
本当に無事で良かった…




主の為に何か出来ることは…
そうだっ!
主の羽織…斬られたところを歌仙が綺麗に縫い直し洗濯してくれていたな…
それをお届けしよう!!
きっと喜んで下さるはずだ!!(俺が直した訳じゃないが)
はやく主のあの笑顔が見たい…///






俺は主の羽織を慎重に畳み、手入れ部屋へ向かった










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