第19章 梅雨(水心子正秀ver) ★
「大丈夫か?」
「あぁ。しかし、水心子くんがかなり濡れてしまったな…。外套に帽子まで…すまない」
「いいんだ、宿屋なら風呂もあるだろうし、服も休んでいるうちに乾くだろう」
「気を使ってくれてありがとう、感謝する。……ところで、部屋を選ぶ、とは、何だろうか?」
目の前の端末には、部屋を選ぶように指示があり、
大きなモニター?には、数字の書かれた部屋の内部の写真が多数並んでいた。
「あそこから選べば良いのだろうか…? 自分で選ぶとは、変わった宿屋だな?」
「あぁ、私も初めて見るな…。内装も一部しか映っていないし、違いがよく分からないのだが…金額も部屋によって違うのだな…」
二人で首を傾げながら、とりあえず金額の高い部屋なら設備も良いのだろうと考え、端末に従って手続きを終えた。
その後も、端末に従って部屋まで歩いていく。
「随分と薄暗い廊下だな…?」
「経費の節減かもしれない。政府でも、最近は節減に煩いからな」
「成程…。政府でもそうならば、有り得るな」
妙に納得しながら、ようやく先程選んだ部屋まで辿り着いた。
部屋に入ると、中はとても広く、綺麗だった。
見た事のない大きさのベッド。見た事のない大きさのテレビ。
シャンデリアのようなキラキラとした照明器具。
「す…凄いな……」
私はただただ、圧倒された。
しかし、彼は特に圧倒されるでもなく、クローゼットからハンガーを取り出していた。
「濡れた外套は重いだろう? 私が預かろう」
そう言って、スマートに外套を受け取る彼。
流石は政府内に所属する刀剣男士…。豪華な部屋にも慣れている様子。
何だかちょっと…悔しい。
「さて、先に天気予報でも確認しておくか…」
そう言って、彼がリモコンを操作し、テレビを付けた時だった。
『あっ♡ あっ…、ン…もっと…もっと舐めてぇ…♡』
『あんっ♡ ソコ、気持ちいい…♡』
大画面に映し出される、情事真っ只中の動画。
「っな!? わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???///」
彼は大きく叫びながら急いでテレビを消した。