第7章 時をかけあう恋~呼び名~家康side
「………あんた、大丈夫?今日なんか変だけど……」
「だ、大丈夫ですっ!!///そ、それより何ですか!?」
「…あぁ………あんた今日、道場に来てたよね?」
「っ!!!!!!?」
俺の言葉に、ぐるん!と勢いよく振り向いた彼女の口は、大きく開いていて、少しワナワナと震えている。
「な、ななななな……なんで知ってるんですか!!?」
道場まで離れていて、柱に隠れて声もかけてないのに、なんで知ってるの!!
という思ったことが、全部顔に出ている彼女。
ここまで思ったことが顔に出るなんて、ある意味尊敬する。まぁ、それは今はいいとして……
彼女にとっては隠れたつもりでも、あんなに気配丸出しで、やたら見られてるって視線が痛いぐらい刺さったら、誰でもわかる。
そのことを指摘すると、彼女は口ごもる。
そして、彼女に道場に寄った理由を聞き、その経緯を話してもらった。
「……そういうこと…。それなら覗いてないで、声ぐらいかけたら。あんたは俺と一緒に見学に行ったんだし……」
「そ、そうですけど……でも、みんな一生懸命稽古してたから……邪魔出来ません……」
まぁ、稽古中に声かけられて、集中を削がれるのは確かに困るんだけど……
「まぁ、それもそうだけど、あんなに気配駄々漏れの方が、気になるんだけど………」
「……う……すみません………///」
俺からすると、気配駄々漏れの方が気になって、稽古に集中できない……。
そのことを伝えると、彼女は恥ずかしそうに、顔を俯けた。