第6章 時をかけあう恋~呼び名~
脱衣場に着いて、ドアを閉めたと同時に身体の力は抜け、へなへなとその場に崩れ落ちた。
「~~~~~っ!!!///」
ドキドキもドクドクも通り越して、バクバクしている心臓。
壁ドンもされ、頭も撫でられたら、ドキドキしない方がおかしい。
「(……呼び捨て…緊張した……///)」
だけど、呼び捨てで呼んだときの家康の顔……すごい優しい顔してた……。
それに、私のことも名前で呼んでくれて……嬉しかったな…
「(家康との距離がもっと近くなった気がしたから、頑張って良かった……)」
そう思うと、無意識に頬が緩んでいた。
そして、家康に、お風呂を沸かしてくると言い逃げしていたため、お風呂のお湯を沸かそうと、ゆっくりと起き上がる。
ふと、洗面台の鏡に映った、自分の顔をまじまじと見る。
「……すっごい顔赤い………しかも…熱い……」
鏡を見ながら、特に赤くなっている頬に手をあてると、かなり熱を帯びていた。
たった数分のやり取りなのに、自分の顔がここまで赤くなるとは………。
しかも、この真っ赤な顔を、間近で家康に見られていたと思うと、かなり恥ずかしい………。
恥ずかしさで、また少し熱が上がった顔。
手をうちわ代わりにパタパタと動かして、気休め程度に顔に風を送りながら、給湯器のボタンを押してお風呂を沸かしはじめ、顔の熱が引くまで、脱衣場からは出れなかった。