第6章 時をかけあう恋~呼び名~
…………え…?
家康さんの言葉に、頭の中は疑問符で埋め尽くされ、思わず、私は首を傾げる。
「………あんた、間抜けな顔してるけど……ちゃんと聞いてる?」
「き、聞いてますっ!!それに間抜けな顔なんてしてませんっ!!///」
たぶん、ポカンとした顔をしてたんだろうな……
家康さんの指摘に、慌てて両手で頬を押さえながら、傾げた首を元に戻す。
「え、えっと……なんで急にそんなことを?」
「別に……敬語とか堅苦しいから、もう、いいんじゃないかと思っただけ。」
「そうですか……でも、悪いような……」
家康さん本人が良い。って言ってくれてるけど……歴史上の大偉人を、簡単に呼び捨てして、敬語もなしに話しかけてもいいんだろうか……
「………はぁー………」
そんなことを考えていると、家康さんのため息が聞こえ、すぐに家康さんの手が私の頬に触れて………
「っ……!?………いひゃーーいっ!!!」
家康さんに頬を引っ張られる………。
すぐに手を離してくれたけど、頬がヒリヒリ痛んで、痛みを和らげようと手で頬を優しく擦る。
「……あんたのことだから、俺に気を遣ってるんだろうけど……最初にあんたが言ったんでしょ。『俺がこっちにいる間、俺と打ち解けたい』って。」
家康さんの言葉に、家康さんがこっちに来て二日目の日に、買い物に行ったときの会話を思い出す。