第6章 時をかけあう恋~呼び名~
「…………まぁ、また寄ることがあるなら、今度からは声かけなよね。」
「…え?あっ……寄っても…いいんですか…?迷惑になるんじゃ……」
現に、家康さんが言う、気配駄々漏れ状態に、家康さんは気になったみたいだし……
「………今日みたいな、声かけてこない方が、逆に集中削がれるから……。今度からは普通に声かければ。」
「は、はいっ!わかりました!家康さんや皆の邪魔にならないように、様子見て声をかけますね!」
「うん、そうして。」
「はいっ!!」
また、家康さんの真剣な表情が見れると思うと嬉しくて、思わず声が弾んでいた。
サーー………キュッ。
最後の食器を家康さんに渡して、蛇口を締めて水を止める。
家康さんも布巾でお皿の水気を拭き取ってくれ、そのまま、食器棚になおす作業も手伝ってくれた。
「ありがとうございます!家康さんのおかげで、早く終わりました!」
「………別に…。俺こそ住まわせてもらってるし……それより前から思ってたんだけど……」
「??なんですか?」
家康さんは眉間に皺をよせて、少し怒ってるような、気まずそうな、悩んでいるような………なんとも表現が難しい表情をして、顔を逸らしている。
なんで家康さんがそんな表情をしているのかわからない私は、頭に疑問符を浮かべて、首を傾げると、家康さんが口を開いた。
「…………なんで、いつまで敬語と『さん付け』なわけ………?」