第6章 時をかけあう恋~呼び名~
「ごちそうさま」
「あっ、はい!ありがとうございます!」
家康さんも食べ終わった食器を下げに行き、すぐに私も食器を下げて、蛇口をひねって食器を水で濡らしていく。
そのままスポンジを手にとって、洗剤をつけて洗いはじめるけど………
なぜか家康さんは、この場から離れない。
「……あの…家康さん……?」
家康さんの顔を見て、首を傾げると……
「………俺も何か手伝おうか…?」
「…………へ……?…………わわっ!?」
家康さんの言葉にキョトンとしてしまい、思わず力が抜けて、持っていたお皿が泡で滑り落ちそうになったところを、慌てて両手で掴んで割れるのを防ぎ、急いで意識を家康さんに向ける。
「え、えっと……?なんで急にそんなことを…?」
「………一応お世話になってるし、特にすることもないから……」
「…え…あ…でも………」
家康さんの言い分もわかるけど……さすがに、歴史上の大偉人、しかも江戸幕府の創設者に、皿洗いを手伝ってもらうのは……大変申し訳ない…。
だけど、好きだから、横に並んで一緒にいたい……。
どうしようかと悩んでると……
「量も多いから、二人でやった方が早いと思うけど……」
そう言われては、断りづらい……。
それに、やっぱり好きだから、近くにいときたい。
気づけば………
「じゃ、じゃあ……お願いします……」
手伝いをお願いしていた。