第6章 時をかけあう恋~呼び名~
「(……確かにかっこいいもんね……)」
綺麗な顔立ちをしていて、背も高いし……
口数は多くなくて、そんなに笑う方じゃないけど、纏う雰囲気が落ち着いててかっこいいし……
武将だから、剣道の腕前ももちろん凄いし……
恋愛に興味を抱きはじめる年頃の女の子たちが、騒ぐのも無理はない。
「(………おまけに食べ方も綺麗。)」
食事中の家康さんを、思わず見ていると、パチッと家康さんと目が合って、鼓動が跳ねる。
「…何……?」
「えっ!?あ~………っと……い、家康さん!お茶減ってるし入れますね!!」
視線を彷徨わせて、半分くらいになっているお茶に目が止まり、見ていたことを咄嗟に誤魔化して、勢いよく椅子から立ちあがり、冷蔵庫にお茶を取りにいった………。
「ごちそうさま。陽菜、悪いんだけど後片付けお願いするわね。お母さん、お父さん迎えに行ってくるから。」
「はーい。行ってらっしゃい。気をつけてね。」
食器を流し台まで持っていくと、お母さんはすぐ出かける用意をして、傘を会社に置き忘れてしまったお父さんを迎えに行く。
梅雨なのに、会社を出たときは止んでいたからと、うっかり忘れてしまったみたい………。
「ごちそうさま。陽菜さん、俺も大学の課題があるから、少し部屋に籠るよ。お風呂掃除は終わってるから、あとはお湯を沸かすだけだから。」
「うん、わかった。いつもありがとう!」
「お風呂掃除は俺の担当だからね。」
そう言って微笑した佐助くん。佐助くんも食器を下げると、すぐに二階へと上がっていった。