第1章 時をかけあう恋~ファーストコンタクト~
「……………そう…」
佐助の言い切った言葉に、家康はため息混じりに呟く。
「……俺は……元の時代に戻れるの?」
何故ここに来てしまったのかはわかったが、元の時代に戻れるのかが不安になり、家康の心中はかなり焦っている。
「俺は大学……学業を学ぶところで、時空を越える研究をしています。あなたが元の時代に戻れるように、帰ったら調べてみます。」
「……あぁ…。頼むよ…」
佐助の言葉に、少しだけ家康は安堵する。
だが、不安が拭えたわけではない。元の時代、戦乱の世に戻って、己のやるべきことをやらなければいけない。その為には、何がなんでも戻らなければいけないのだから………
そこから二人は一言も喋らず、歩いた。
しばらくすると
「あ、家康さん。ここが俺がお世話になっている親戚の家です。」
住宅街を歩いているなか、ある一軒の家の前で二人は足を止めた。
白い外壁の2階建てで、玄関横には車が2台止めれるスペースがある一軒家。
玄関のドアを開けるまでに3段の段差がある。
先に佐助が段差を昇り、家康も後に続く。
玄関ポーチは屋根があるため佐助は傘を閉じて、鞄から鍵を取り出し、鍵を鍵穴に差し込んで解錠すると、家康の方へと振り向き、家康の手から折り畳み傘を貰う。
ドアノブを掴み、ドアを引いて
「どうぞ。入ってください。」
家康に入るように促した。