第6章 時をかけあう恋~呼び名~
週が明けた月曜日。
朝から降りしきる雨に、傘を差しながら学校へ登校。
門を潜り、校舎に入ってから、差していた傘を閉じると
「陽菜ちゃん、おはよう!!」
「あ、まっちゃん!おはよう!」
私の後に校舎に入ってきた『まっちゃん』
ショートボブの髪型に、可愛い顔立ちをしてて、いつも明るくて、ほんわかした雰囲気で周りを癒してくれる、一緒にいると楽しいお友達。
二人で他愛ないお喋りをしながら、講義室まで向かう。
「あ、そうだ。まっちゃん、課題すぐ出来た?私、半日もかかっちゃったんだ……」
出されていた課題の内容が思いの外難しく、昨日半日は机に向かっていたのを思いだして、思わずため息を吐く。
「ほえ?課題?何の?」
「え?病理学の課題だよ?金曜日に先生が出してたやつ……」
「………………」
私の言葉を聞いて、まっちゃんの顔色が、血の気を引いていくように青くなっていく……。
「ま、まっちゃん…もしかして………」
「わ…………忘れてたーーーーーー!!!!」
廊下中に響き渡るまっちゃんの叫び声。
何事かというように、廊下を歩いていた他の生徒たちの視線が、私たち二人に集中している………
「ど、どどどどどどうしよう!!陽菜ちゃん!!!!課題何にも手をつけてないよ!!」
「お、落ち着いて………病理は四限だから、休み時間と昼休憩のときにやれば、なんとか間に合うかもだし……」
「陽菜ちゃんが半日かかったのに、そんな短い時間でできるわけないよ!うわーーん!!どうしよーーーーー!!!!!」
目に涙を浮かべて、完全にパニック状態のまっちゃん…。
まっちゃんが項垂れて「単位が…」とブツブツ言葉をこぼしていると……
「………………何、廊下で騒いでるの……?」