第5章 時をかけあう恋~ときめく想い~家康side
モグモグと何度か咀嚼して、ゴクンと飲み込む。
「………………ど、どうですか………?」
『ちきん南蛮』のときと同じように、緊張と不安が混じったような顔をして、手を組んで俺の反応を待つ彼女。
「………………………ぃ…」
「え?」
ボソッと感想を言ったけど、彼女の耳には届かなかったみたいで、ごちゃ混ぜの顔から、きょとんとした顔に一転する。
「………………美味しい…」
今度は、さっきよりも少しだけ大きめの声で感想を言う。
彼女の耳に届いたのかはわからず、チラリと彼女の方を見ると、頬を緩めて嬉しそうに、そして安心したように胸を撫で下ろしていた。
「良かった~!家康さんのお口に合ったんですね!安心しました!!」
そう言って嬉しそうに笑う彼女。
その笑顔を見て、やっぱり俺の心臓は、トクトク…と鼓動が速くなる。
「………うん。まぁ、もう少し辛くても大丈夫だけど」
「え!もう少し辛くてもって…かなり大量にスパイス投入したんですけど……じゃあ、今度はもう少し辛くしてみますっ!」
「……うん、そうして…」
拳を握って意気込む彼女に、軽く返事をして、黙々と『かれー』を食べていく。
いくつか辛い料理を彼女は作ってくれたけど、これはかなり気に入った。