第5章 時をかけあう恋~ときめく想い~家康side
「家康さん」
「………っ!?」
彼女の声にハッとし、左胸から手を離し、彼女の方へと顔を向ける。
「……何?」
「ちょっと野菜コーナーに行って来てもいいですか?入れ忘れたのがあって……すぐ戻ってきますからっ…」
申し訳なさそうに謝る彼女。籠の中には、彼女が選んだ肉がいつの間にか入っていた。
「……なら、俺も行く。あんたが迷ったりしたら面倒だし」
別に待つぐらい大丈夫だけど、なぜか口を開けば、天邪鬼な言葉が出てくる。
それに、彼女となんとなく離れがたい……。
「なっ!?///失礼なっ!!さすがに行き慣れてるスーパーで迷いません!!」
俺の言葉に、顔を赤くして怒る彼女。
プイっと方向転換して、野菜が置いてある場所に向かって早足で歩き始め、俺も彼女のあとをついていく。
「えっと、茄子……でいいかな…。あ、キュウリ安い。まとめて買っとこう!」
言いながら、茄子とキュウリを手に取ったのを見て、入れやすいように籠を彼女の方に近づける。
すんなりと籠に入れた彼女は、先ほどの怒った様子は微塵もない。しかし籠に入れてすぐに、何かに気づいたのか、また申し訳なさそうな顔をする。