第5章 時をかけあう恋~ときめく想い~家康side
だけど……
『っ……す、すみません……』
子どもたちに恋仲なのかと揶揄われて、先生が止めたあとは普通だったけど、そのすぐあととか………
帰り道に、俺がうるさいのは好きじゃないと言ったあととか………
彼女が、眉を下げて悲しそうな顔で、自身の胸元をギュッと握っている姿を見ると、心臓にトゲでも刺さったかのように、チクチクと痛む……。
なんで自分の心臓が、こんな風に速くなったり痛んだりするのかはわからない………
彼女とは普通に話しもしてはいるけど、そういうときは別に心臓の音は変わってないし…
ただただ、彼女の『笑顔』と『辛そうな顔』のときだけ心臓が反応して、それに全く慣れない。
「(………最初に気まずかったから、見慣れないだけかと思ったけど……)」
慣れるどころか、笑いかけられる度に、鼓動の跳ね方は少しずつ大きくなっていき、彼女の顔を直視出来なくなっていた。
まだ、トクトク…と速いままの鼓動……
それを感じるように、左胸に手をあてた。