第5章 時をかけあう恋~ときめく想い~家康side
戦が絶えない乱世から、約500年後の時代にやって来て半月。
佐助のおかげで住むところにも困らず、そしてこの時代の生活の云々をいろいろと教えてもらい、なんとかこの時代の生活にも慣れてきた。
ただひとつ、慣れないことが…………
それは………
「うーん……これも要るかな?いや…こっちかな?」
居候させてもらっている家の娘、陽菜。
道場の見学の後、夕食の買い出しに来たのだが、さっきから商品を棚から取っては見比べたり戻したりと、真剣な表情で商品を手にしている。
「よしっ!これとこれ、あとはこれにします!」
そう声をあげて、手にしていた物を俺が持っている籠に入れていく。
「あとは、何買うの?」
「お肉です。あとはお買い得の物があったら、それも買おうかなと。」
「ふーん………で、これは何に使うの?あんた、ずいぶん真剣に見てたけど?」
言いながら、彼女が籠に入れた物の一つを手に取り、彼女に聞く。
「ふふ♪今日の晩ごはんに使うんです♪楽しみにしててくださいね!」
そう言って、嬉しそうに柔らかく笑った彼女。
…………ト…クン…………
「(……っ、また……)」
こっちに来て二日目の買い物のときも、その日の夕食時も、それについさっきも……この娘が俺だけに向けた笑顔のときだけ、鼓動が跳ねる……