第4章 時をかけあう恋~ときめく想い~
「………あんた、さっき俺が道場で言ったこと、忘れたの?」
「え……?」
ため息交じりの呆れた声で、家康さんに声をかけられ、俯けていた顔をあげる。
「そういう顔より、いつもみたいにへらへらしてる方が、あんたらしいって、言ったでしょ。」
「い、言ってましたけど……でも、今度は私うるさくしちゃったのかと………」
道場で言われたことと、同じ言葉をもう一度言われた。
さっきは、この言葉で胸の痛みは引いたけど、今はまだ引かない……。
『うるさいのは好きじゃない』の言葉のことを、やんわりと告げると……
「うるさいのは好きじゃないけど、あんたが喋ってるのは、別にうるさいと感じたことないけど。」
「(…え……?)」
家康さんの言葉に驚いて、目をぱちくりとさせると、家康さんが言葉を続ける。
「それに……あんたと話すのは嫌じゃないし…」
「…え……っ…」
…………………ト、クンっ………
家康さんのその言葉で、胸の痛みは一気に消え、変わりに今までで一番、胸の奥が熱くなった。