第4章 時をかけあう恋~ときめく想い~
「康くん。いい試合させてもらったよ。ありがとう。」
家康が数人の生徒たちに、強さの秘訣をせがまれていると、面を外した男性が近づき声をかけ、片手を差し出す。
「あ……いえ……こちらこそ、ありがとうございます…」
一応、陽菜の父親に言われて、手加減はしていたのだが、武将であるためか、勝負事となると負けたくないため勝ってしまったが……
この道場で鍛練させてもらうのだから、もしかして負けた方が良かったのかと、思ったりもしながら、差し出された手と握手しようと、手を差し出すと
ガシッ!!
「!!?」
「康くん!君の強さを買いたい!!」
「………は?」
差し出された手は、男性の両手にガシッ!と強く掴まれると
「康くん!!ここで皆のコーチをしてくれないか!?」
男性からの真剣なお願いに、生徒たちは更に一際大きく騒ぎだし、家康たちは目を見開いた。
家康が着替え終えると、父親は仕事先から電話があり、ひとまず先に家に帰り、家康と陽菜は二人並んで家までの道を歩く。
「良かったですね!鍛練できる場所が出来て♪」
「…まぁね……。でも指南役まですることになるとは、思わなかったけど……」
そう言って家康はため息を深く吐く。
あのあと、男性だけでなく生徒たちからもお願いをされ、断ろうと思ったが
「夏の大会で優勝したいんだ!!」という男性の言葉に、父親が熱くなり、父親にも強くお願いされてしまい、お世話になっているし、鍛練の場も貸してもらうので、乱世に戻るまでの間、家康はコーチになることを承諾したのだった。