第3章 時をかけあう恋~武将の顔~
………シーー…………ン…………
勝負が決まり、道場内は静けさに覆われる。
試合をした二人は、礼をして試合場から立ち退き、二人が面を外すと、道場内はワァ!!と歓声があがる。
「す、すげー!あの兄ちゃん!先生に勝ったぞ!!」
「……す、すごくないっ…!?イケメンだし、強いしっ!」
「格好いいー……///」
「先生とあんなに打ち合って……兄ちゃん、何者!?」
「どうやったら、そんなに強くなんの!?」
「なっ!?何、急に……」
生徒たちは、家康の腕前に騒ぎ始め、何人かの生徒たちは家康に近づき、どうしたら強くなるのかを質問しだす。
「はー……さすが武将だな……。インターハイ出場者とか関係なしか……」
父親は家康の腕前に感動し、感嘆の息を洩らす。
そして、陽菜は
「(……家康さん…やっぱり武将なんだな………)」
剣道のことは全くわからないが、あの剣さばきは、素人目でもすごい腕前だとわかる。
普段は、現代の服を着て、自分たちと一緒に食事を摂ったり、他愛ない話をしているけど……
道着に着替えて出てきたときには、なんとなくだが雰囲気が変わった。そして先ほどの試合では、いつもと纏っている雰囲気がガラリと変わり…
「(………家康さんは、この時代の人じゃないんだ……)」
そのことを、陽菜は深く実感した………。