第3章 時をかけあう恋~武将の顔~
家康たちの激しい打ち合いを、陽菜と父親、そして生徒たちは一言も喋らずに黙って試合を見る。
そして、試合時間が2分程経過したころ
激しい打ち合いから一転、竹刀の剣先が触れるか触れないかぐらいに二人の距離は離れる。
「(この腕前なのに、本当に大会で成績をおさめてないのか?)」
これほどの腕前であれば、大会で好成績をおさめていたりしてもおかしくないのに、なぜ名も聞いたことがないのだろうかと、男性は疑問に思う。
だが、今は試合中。
一瞬の隙が勝敗を分ける。
男性は疑問に思ったことを頭から追い払い、試合に集中する。
そして二人が離れたままの状態が、数秒経つと
男性が一気に距離を詰め、竹刀同士がぶつかる。
バシッ!バシッ、バシッ!
また数回打ち合うと二人は離れ、すぐに男性が面を狙いにいくが、それを家康が受け止める。
だが、すぐに男性が竹刀を返し、小手を狙うが、家康の竹刀に邪魔をされ、またもや二人は離れる。
そして、試合時間がもうすぐで3分になろうとしたとき
二人は距離を一気に詰め、数回打ち合う。数回打ち合った竹刀と二人の距離が同時に離れた一瞬に
バシッ
胴が綺麗に入り
「一本!!」
勝敗が決まった。