第3章 時をかけあう恋~武将の顔~
試合が始まり、男性はほんの少しずつ動きながら竹刀を動かしていき、家康はあまり動かずに様子見。
その時間が30秒ほど経ち、先に動いたのは
「………はっ!」
男性の方。
中段の構えから、家康との距離を一気に詰め、面を狙うために竹刀を振り上げて、すぐに振り落とす。
バシッ!
しかし、それをいとも簡単に家康の竹刀が受け止める。
その態勢のままほんの数秒経つと、男性が一歩下がって、すぐにまた打ち込んでいく。
バシッ!バシッ!バシッ!
だが、どれも竹刀で受け止められる。なかなか技は決まらない。
「(………へぇ…なかなか速い太刀筋だな……悪くない。)」
男性からの打ち込みを竹刀で受け止めながら、冷静に男性の太刀筋を視る家康。
何度か打ち込みを受けると、竹刀を押し払い、男性が二、三歩後ろに下がると、今度は一気に家康が詰めよる。
「っ!!?」
バシィっっ!!
家康が振り降ろした竹刀を男性も受け止める。
だが、その一撃は重たく、その感覚が手にビリビリと伝わる。
家康はすぐに後ろに退くと、すぐに距離を詰めて、素早く打ち込んでいく。
バシッ!バシバシッ!バシッ!バシィ!
その速さは、さすが武将。目にも留まらぬ速さで、竹刀を打ち込んでいくのを、男性は必死に竹刀で受け止めていく。