第3章 時をかけあう恋~武将の顔~
家康が現代に来て半月が経ち、梅雨入りしたある日のこと。
「鍛練出来る場所…ですか?」
佐助は家康の言葉に、はてなマークを浮かべた。
「そう。どこかない?」
「えーっと……まず鍛練する理由を聞いてもいいですか?」
「……この時代に戦がないのは半月過ごしてわかったけど、あと二月半したら俺は乱世に戻る。そしたらあっちは戦だらけだ。三月も鍛練していなかったら、確実に腕は鈍るから、鍛練する必要があるんだよ。」
「なるほど。そういう理由ですね。ちなみに鍛練っていうと、どういった事をいつもしてるんですか?」
「剣術と弓術が主にだけど……」
「剣術と弓術……ってことは剣道と弓道か……」
うーん。と腕を組み、どこか出来る場所はないかと考える佐助。
「すみません……ちょっと思い浮かばないですね…。もう少ししたら、陽菜さんが帰ってくるんで、陽菜さんにも聞いてみましょう。」
「大丈夫?あの娘、結構抜けてるけど………」
「まぁ……でも、陽菜さんは、産まれも育ちもここ辺なので。知ってるかもしれませんよ?」
そのとき、玄関から陽菜の「ただいま」という声が聞こえ、リビングにいた二人は、階段を登ろうとしている陽菜に声をかける。
「おかえり、陽菜さん。ちょっと聞きたいことがあるんだ。」
「おかえり」
「佐助くん、家康さん、ただいま。聞きたいこと?なぁに?」
「この辺で、剣道や弓道をやってる道場ってない?」
「道場?うーん………あったかな…?」
顎に人差し指をあて、顔を斜め上に向けて、この周辺の地理を思い出す。