• テキストサイズ

イケメン戦国『時をかけあう恋』

第2章 時をかけあう恋~小さな優しさ~


「…ど、どうですか……?」


不安、期待、緊張のごちゃ混ぜになった表情で、俺を見てくる彼女。


何度か咀嚼して、飲み込むと、彼女もゴクリと喉を鳴らし、俺の反応を待つ。



「…………まぁ、悪くないんじゃない……」



俺の言葉に、彼女の大きな瞳がさらに大きなった。



「(何言ってんだ……想像以上に美味しいのに…)」


初めて食べたものだけど、普通に美味しい。
自分で得意というだけのことはあると思った。

だけど素直に思った感想は、天邪鬼な言葉に打ち勝つことは出来ず、俺の心中だけに留まっている。



「ふふっ、良かったです!」


彼女の安堵した声で、彼女を見ると、ふにゃりと顔全体を緩めて笑った。



「は?」


「家康さん、悪くないって言いながらも、すぐに取ってくれてるんで♪お口に合ったんだな~と思ったんです!頑張って作った甲斐がありました!!」



そう言って、今度は嬉しそうに満面の笑みを浮かべた彼女。





……………ト………ク………ン………





「(………っ……今…の……)」



買い物に行っていたときと同じように、胸の奥に火が灯った感覚が起こる。だけど、それは本当に一瞬のことだった。


そういえば、さっきのときも、彼女がこういう風に笑っていたときだったような…………



それを確認するために、チラリと彼女を見る。
おばさんや佐助と、笑顔で喋ってはいるが



「(………?…何も変わらない……?)」



なぜか、さっきみたいに、火が灯る感覚は起きない。



「(………まぁ、気まずかったから、彼女の笑ったところに見慣れてないだけか。)」



自分でそう解釈をして、取ったばかりの『ちきん南蛮』を口に入れた。

/ 104ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp