第1章 時をかけあう恋~ファーストコンタクト~
「今は2018年ですが?」
「は?2018?1580年じゃなくて?」
「え?はい。そうですけど?」
「………………」
「………………」
質問に答えると、男性は目を大きく見開いて固まってしまった。
なぜだ……?なぜ、この男性は、場所や年号を聞いてくる?
そして、今気付いたけど、この人、腰元に刀みたいなの帯刀してないか……?
銃刀法違反なんじゃ……?
いや、ドラマの撮影?
いやいや!それなら、そろそろ「カーット!」とかいう台詞が飛んできてもおかしくない。というか部外者が邪魔した時点で、飛んでこないとおかしい!
ん?というか、この人、「1580年」って言ったよな?
ということは……安土桃山、戦国時代の終期あたり……
織田信長や豊臣秀吉、そして、俺が尊敬してやまない『徳川家康』が活躍している時代…………
ん?ん?待てよ?
突然の雨、本能寺跡地、着物を着たどこか会話が噛み合わない男性………
もしかして………
会話がない一瞬の間に、頭をフル回転させ、浮かび上がったひとつの可能性。
「………あの…つかぬことを聞きますが……あなたのお名前は…?」
その可能性が正しいのか、男性に質問した。
雨に濡れているけど、この男性が着ている着物や刀などは、素人目にしても、上等なものだとわかる。
高価なものを身につけているのだから、それなりに地位がある人物のはずだ。
この時代の有名な武将の名なら、記憶している。
名前を聞けば、記憶のなかの偉人にヒットするはず!
「……俺は……」
男性の答えを待つ。
きっと、この男性は戦国時代の……
「『徳川家康』」
人。