第1章 時をかけあう恋~ファーストコンタクト~
「ええっっ!!!?」
「!!?」
俺の声に、一瞬ビクリと反応した男性。
『徳川家康』
確かに、この男性はそう言った。
ガシッ!!!!
「大ファンですっ!!!!!」
「っっ!!!?」
持っていた傘を放り投げ、『徳川家康』さんの手をガシッと掴み、ブンブン!と上下に振る。
『徳川家康』さんの顔が、少しひきつっているけど、お構い無しに手を振る。
ま、まさか!『徳川家康』が、今、俺の目の前にいるだなんて!!
目に焼き付けるように『徳川家康』の容姿を見る。
なんて、端正な顔立ちなんだ!
髪色も明るいし、翡翠色の瞳が素敵だし!
肌もキメ細やかだ!
手は刀を扱うからか、すこし分厚い感じ!
姿勢も綺麗だし!
あとは………
「おい!鼻息が気持ち悪いから離れろ!!そして手を離せ!!」
間近で『徳川家康』さんからの怒鳴り声。
自分でも気づかぬ内に、『徳川家康』さんに顔を近づけて、鼻息を荒くしていたようだ。
言われて、顔を離し、残念だが手も離す。
「『徳川家康』さん、失礼しました。俺の名は佐助といいます。」
名前を名乗り、放り投げた傘を拾い、『徳川家康』さんが濡れないように傾ける。
「いろいろとお話したいことがありますが、少しお待ちいただけますか?」
「は?」
持っていた傘を『徳川家康』さんの手に握らせると
「10分以内に戻ってきます。俺が戻るまで、そこを動かないでください。お願いします。」
俺はそれだけ言うと、ある場所へと行くために全速力で走っていった。