第2章 時をかけあう恋~小さな優しさ~
「え、えっと!家康さんって辛いもの好きなんですねよ!他にも好きなものってあるんですか?」
「え?」
「あ、あの……好きなもの知ってた方が、お母さんも晩ごはん作るときに、献立立てやすいしっ!辛いもの以外にも何かあったりしますか?それか嫌いなものでもっ!」
食べ物の話から会話も広がって、打ち解けれるかもしれないと、陽菜は期待に満ちた目で家康の返答を待つ。
「……天ぷらときな粉餅。あと、嫌いなものは特にない。」
「きな粉餅?」
天ぷらはまだわかるが、きな粉餅は少し……いや。かなり意外で、陽菜はパチパチと目を瞬かせる。
「家康さん、甘いものも平気なんですか?」
蕎麦に大量の一味をかけていたから、甘いものは駄目なのかと思っていたが、甘いものもいける口なのだろうか。と質問する。
「いや、甘いものは苦手。だけど、きな粉餅は別。」
「へぇー……そうなんですか。きな粉餅……覚えときます。」
家康の好きなものを、陽菜は頭の中にインプットする。
いつでも好きなものは食べたいよね。と思う陽菜だが、天ぷらは作れても、きな粉餅は作ったことがないので、きな粉餅だけはどこかで買ってこようかな。と思いながら、食べ物の会話で、少しばかり気まずさは解かれたことにホッとしていると
「…………ねぇ…なんでそんなこと知りたいの」
家康が怪訝な声で陽菜に聞いてきた。