第2章 時をかけあう恋~小さな優しさ~
「服と靴は買ったから、あとは下着類とかかしら?」
「そうですね。食器類は家にあるのでいけますし、もし必要なものが出てきたら、その時に買えばいいと思います。」
カートに購入した服や靴のショップ袋を乗せ、母親と佐助は並んで、必要なものを確認しながら歩いていく。
その後ろを黙ってついていく陽菜と家康。二人とも並んではいるのだが、二人の間は少し距離がある。
「(お母さん、楽しそう。佐助くんも、家康さんのことだからか、すごく生き生きしてる…)」
とはいっても、無表情の佐助。
周りの人からすれば、どこが生き生きしてるのかわからないが、従兄弟の陽菜は、小さい頃は夏休みの度に佐助と遊んでいて、今は一緒に暮らしているため、微妙な変化がわかるようになっていたのだった。
「(家康さんも、少しは買い物楽しめたりしたかな?)」
家康が現代に来て二日目だが、家康とはあまり喋っていない陽菜。
人見知りもあまりなく、素直で明るい性格なのだが、前日は佐助が家康に付きっきりで話しかける隙がなかったのと、『お風呂事件』をまだ少し引きずっているため、家康とは挨拶ぐらいしか交わしていない。
「(……普通に聞いたらいいんだろうけど……やっぱり、昨日のことがあって、話しかけづらい……)」
せめて、表情だけでも見て、楽しんでそうか確認しようと、家康の顔を見ようとしたとき
グイっ!
「っ!!?」
家康に腕を掴まれて、家康の方へと引っ張られた。