第2章 時をかけあう恋~小さな優しさ~
佐助と家康が隣同士に座っているため、佐助の向かい側に陽菜は座る。
「いただきます」
手を合わせると、陽菜は食事を始めた。
のだが…………
「あ、家康さん。今、陽菜さんの皿に乗ってるのが、食パンとベーコンエッグです。ちなみにベーコンエッグは……」
「(………食べにくい…)」
佐助が家康に、陽菜の食事メニューなどを説明しているため、落ち着いて食事は出来ないのだった。
約500年前の時代からタイムスリップした家康にとって、陽菜の食べているものは見慣れないものばかり。それを佐助は、わかりやすく説明している。
「(………でも家康さんのためにも、説明しないとだもんね……佐助くん、大学生だから、すごいわかりやすく話してくれるし……)」
遠方に住んでいる佐助は、大学入学と同時に独り暮らしを始める予定だったが、研究に没頭しすぎて食事などの生活を疎かにされては困ると心配した母親が、姉である陽菜の母親に相談した結果、
「それなら家においでよ」となり、丁度、デザイナーになるために上京した陽菜の姉が使っていた部屋が空いていたため、そこに佐助が居候としてやってきたのだった。
つまりは従兄弟同士の陽菜と佐助。
そういうことも家康に話した佐助は、昨日の夕食が終わったあと、家康に付きっきりで、トイレの使い方、家電の説明、時間の見方など、とりあえず家の中のものだけだが、現代で過ごしていくのに必要なことを、わかりやすく説明していた。
そして、陽菜の朝食も、不思議そうに見ていた家康に、陽菜が食事中というのをお構いなしに、これまたわかりやすく説明していたのだった。