第1章 時をかけあう恋~ファーストコンタクト~
「ちょっと待て!徳川家康くん!!君は、私の大事な娘に手を出したのか!!!」
今まで温厚だった父親が、いきなり鬼のような形相になり、テーブルをバン!!と叩いて、家康の方へと身を乗り出す。
先ほどとは、雰囲気が変わった父親に、さすがの家康も、これには少し怯んでしまう。
「っいえ、手を出したとかではなくてっ……」
「手を出していないなら、何だね!!!」
「おじさん、ちょっとした事故です!二人とも悪くなくて、悪いのは俺で…」
「いや、別に佐助は悪くは……」
「佐助くんは別に悪くないよ!!私の不注意であんなことに!!///」
「事故ぉぉぉぉ!!!!?あんなことぉぉぉぉ!!!?」
三人とも「裸を見られた」ということを伏せて会話を進めるため、父親はそれよりもいきすぎたことだと勘違いしてしまい………
「嫁入り前の娘に、なんてことしてるんだぁぁぁぁ!!!!!」
「!!?」
「お父さん!?何か勘違いしてない!?」
「おじさん!暴力はNGです!!」
溺愛する娘を思って故に、冷静さを欠いた父親は、今にも家康につかみかかろうとする勢い。
陽菜と佐助は、必死に父親を落ち着かせようとする。
そのとき
バンっっ!!!!
「「「「……………」」」」
「あなた達、少しは落ち着きなさい。食事中よ。」
母親が思いっきりテーブルを叩き、満面の笑顔で全員を黙らせた。