第1章 時をかけあう恋~ファーストコンタクト~
「ありがとうございましたーー!」
大学からの帰り道、支払いなどのためにコンビニへ寄り、会計を済ませて、コンビニの自動ドアをくぐると……
ザァーーーーーーーーーーーー
バケツをひっくり返したような雨が降っていた。
「(あれ……?今日って降水確率0%じゃ?)」
まぁ、通り雨だろう。と思いながら鞄を開け、万が一のために入れておいた折り畳み傘を取り出し、傘を拡げて、家へ帰るためにコンビニから離れる。
コンビニから5分ぐらい歩いたところで、曲がり道を曲がると………
「……ん?」
少し離れた前方に見えるは『本能寺跡地』
その石碑の前に、このどしゃ降りのなか、傘もささずに石碑の前に立ち尽くしている着物を着た男性の姿が。
ここは観光地、京都。
着物を着て仕事をしている人もいるし、観光客が記念にと着物を着て歩いていることもあるため、着物を着ている人がいるのは珍しいことではない。
ただ………
この雨のなか、傘もささずに立ち尽くしているのは……大変珍しいことである。
「(……あのままじゃ、風邪ひく…)」
要らぬお世話かもしれないが、このまま雨にうたれ続けば、絶対に風邪をひく。
早歩きで、着物を着た男性に近付き、その男性がこれ以上濡れないようにと、自身の折り畳み傘を傾ける。
「…………………」
急に雨にうたれなくなったからか、その着物の男性が、ゆっくりとこちらへ顔を向ける。
「……あの……大丈夫ですか……?」