第1章 時をかけあう恋~ファーストコンタクト~
ザァーーーーーーーーーーーー
………ゴロゴロ……ゴロゴロ…………
「ったく……いきなり降ってきたし……」
安土城で開かれていた軍議が終わり、自身の御殿を戻っていると、いきなりの雨にみまわれ、家康は城下町にある茶屋の軒下で雨宿りをしていた。
持っていた手拭いを取り出し、雨で濡れた頭や顔を拭いていく。
手拭いで濡れたところを拭いていると、店の奥から店主がやってきた。
「家康様!?大丈夫ですか?よろしければ、傘をお持ちします!」
「いや、大丈夫だ。気持ちだけ頂いとく。通り雨だろうし、しばらく雨宿りさせてもらうよ。」
「そうですか。それは構いませんが……あ、雨で濡れておりますし、風邪をひいては大変です!今、温かいお茶をお出ししますね。」
「あぁ………頂くよ。」
「はい。すぐにお淹れしますね。」
店主はそう言うと、店の奥に入っていった。
店主がお茶を淹れてる間、家康は濡れている着物を拭こうとするが……
「(………これ、拭いても意味ないな……)」
小雨などではなく、かなりの大雨。
汲んだ井戸水を頭の上から被ったような雨が、いきなり降ってきたため、全身ずぶ濡れ状態。
ずぶ濡れだった頭と顔を拭いた手拭いは、ぐっしょりと雨を吸い込んでいる。
手拭いを絞ると、吸い込んだ分の水分が地面に落ちていく。
ゴロゴロゴロ……
………ドォー………………ン………
雷がどこかに落ちた音が聞こえ、手元から空へと視線を移すと………
ゴロゴロ……
ドオォォォォーーーーーン!!!!!!!!!
かなり近いところに落ち、その音の大きさと、その眩しさに家康は目をきつく閉じ……
すぐに目を開けると……
「(…!?……な…んだ…?)」
周りが安土城下の景色ではなく、暗闇に靄がかかったようなところにいて、身体も浮遊している。
そして、どこも掴まれていないのに、何か強い力に引っ張られる。家康は必死に抗おうとするが、その力は強くて……
「………!!!!!?」
あまりの強い力に、いとも簡単に家康の身体は持っていかれ、身体に変な圧力がかかり、家康はきつく目を閉じた。