第1章 時をかけあう恋~ファーストコンタクト~
靴を脱いで家にあがると、陽菜は2階の自室に向かう階段を昇りながら、スマホを操作する。
「(佐助くん、既読にならないな。もしかして、研究に集中してるのかな?)」
いつもなら、既読になったらすぐに返信をしてくれるのだが、今日はなかなか既読にならない。
玄関に靴と濡れている傘があったから、帰ってきているのは間違いない。
彼はこの雨のなか、運よく傘を購入できたのだろう。だったらあまり濡れなかったのかもしれないから、お風呂に入る必要性もない。
と、自分なりに佐助の行動を読み取った陽菜は、2階に上がってすぐのとこにある自室のドアを開け、鞄を置いてベルトを外すと、クローゼットの中から部屋着と下着を取り出し、それを持って急いでお風呂場に向かう。
佐助がメッセージを見ていなかったら、すぐにでも浴槽にお湯を溜めて、冷えた身体を温めたい。
脱衣場のドアを開けると、給湯器の電源が入っており、浴室のドアの足元には、着替えを入れる籠の中に綺麗に畳まれたバスタオルが置かれていた。
「(なんだ。佐助くんお風呂沸かしてくれたんだ。)」
通知された瞬間にメッセージをとりあえず見たけど、忙しくしていて返信出来なかっただけかもしれない。
そう勝手に理解した陽菜は、持ってきた着替えを籠の中に置き、シャツワンピースのボタンを外して脱ぎ、ブラジャーのホックも外し、ショーツもずり落とす。
脱いだ下着を洗濯ネットに入れて、服と一緒に洗濯機の中に入れ、お風呂用の髪留めを洗面台から取って髪を簡単に纏め留めて、浴室のドアに手をかける。