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【NARUTO】いちばん近くて遠いひと

第18章 十八歳前日、十八歳


「よし、一分前!さすがオレ」

時計台を見つめて自画自賛するカカシ君。

軽やかなジョギングをした雰囲気だが、私は速すぎて唖然としている。少しも彼は、息切れや汗をかいていない。華麗なるカカシ君は、身体能力が格段に上がっているようで、思わず惚れ惚れしてしまう。

「カカシ君、凄いね、ビックリしたよ」
「普通だよ、これくらい」
「え?普通⁈」
「うん、暗部じゃ普通」
「凄いね、さすが暗部……」

今、目の前にあるのは、木ノ葉アカデミー横にある区役所的な存在の建物。

ここでは、婚姻、戸籍、出生届などの主な手続きを行い、婚姻届だけは三百六十五日、二十四時間、いつでも提出出来る。

「カカシ君、ありがとう」

まだ抱っこをやめないカカシ君に声をかけ下りようと身体を動かすが、余計に力が入る。

堪らずにカカシ君を見るが、目がなんだかとっても嬉しそうだ。

「ん?どういたしまして」
「下ろしてくれる?私重いでしょ?」
「全然ー、すぐ帰るしこのまま行くよ」

「ええっ!!?待って!恥ずかしい」

顔が少し赤らめて照れて私が困っていても、カカシ君、全然止めようとしない。


よいしょ、とカカシ君が抱き直して建物へ歩き、向きを変え、ガラス扉を背中で押してドアを開ければ、明るく蛍光灯が照らされた左窓から、明るいおじさんの声が聞こえてきた。

「お、婚姻届を提出しにきたんだな、もらうよ、書類」

「はい、す、すみません、こんな格好で」

私が真っ赤になって抱っこのまま、紙を渡せば、微笑んでおじさんは書類に目を通した。

「…お!カカシ君、今日で十八歳か、おめでとう、そして結婚、おめでとう。確かに書類受け取ったよ。また後日正式に文書を送付するからね。よろしく」

「「ありがとうございます!」」

声が高くでて、高揚した気持ちでいれば、カカシ君も同じみたいでとっても嬉しそうだ。

「じゃあ、帰ろう花奏さん。ありがとうございました、失礼します!」

「おう、しっかりやれよ、ニイちゃん」

ガハハハと豪快に笑う職員の方に会釈してまた、家へ猛ダッシュで帰って行った。

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