第16章 挨拶
「カカシ君、もう大丈夫?とりあえず、一旦私の家に帰ろっか。もう外が暗いし、なんかお弁当でも買って帰ろ。」
少し落ち着きを取り戻した彼に背中をさすりながら伝えた。今、実はとても私は嬉しい気持ちが胸の中に溢れている。カカシ君が甘えてくれている。その事がとっても気持ち良く感じているのだ。
私の穏やかに心がけた声を合図のように、大きな息を吸い、また吐き出して、身体が揺れるようにカカシ君はクスクス笑ってる。その反応が私の安堵を引き寄せていく。
抱きしめた力が緩まり、徐々に離れていく彼の身体を、不思議と自分から言ったはずなのに、なんだか寂しく感じる。私は彼にもっと甘えて欲しいらしい。
ゆっくりカカシ君と目線が合えば、さらに瞳は充血しており、腫れぼったい。急いで帰って冷やしたりしないと端正な顔が台無しになってしまう。
「カカシ君、目が真っ赤だよ。帰ったら濡れたタオル冷やそうね。明日任務でしょ?皆にビックリされちゃうよ。」
優しく言いながら、私はカカシ君の右頬をそっと左手で触れる。
その温もりにカカシ君は自分の手を重ね、安心したように目を瞑り、口に笑みを浮かべた。
「オレは、図体ばかりがでかくなった子どもですね、花奏さんの気持ちが分かり良かったです。今後気をつけます。」
「うん。あのね、私はカカシ君が甘えてくれた方が嬉しいんだ。だから今本当は凄く嬉しいの。カカシ君はそんな姿見せるのなんか嫌で恥ずかしいかもしれないけどね。」
一呼吸置いて私は本当の今感じてる自分の気持ちを言う事にした。