第16章 挨拶
「花奏、まだあるからな。遺言書類もカカシ君はすでに書いてるぞ。花奏に、その後稼いだお金や財産を、全て相続すると捺印してる。これも三代目の印と署名が付いてる。カカシ君は……本気だ。こんな奴今まで見たことない。負けたわ。」
ポンと書類を置いてソファに座れば唸り声を上げ、天井を見上げた。
その後すぐに兄が客間から出てくれば、私を見て、ひたすら笑ってる。なんだと睨んで見れば、お兄ちゃんが理由を説明した。
「あー、花奏に見せたかったなー、あんな親父初めて見たなー、いやー笑ったわー。まあ、俺もアイツの味方したけど。カカシは隊長に推薦されるぐらいスゲーからな。」
こんなこと言ったらお父さんに怒られる!と、父を見るが、もう言い返す気力すら無いらしい。完全に父は骨抜きにされている。兄はこれ見よがしに笑った。
私は客間を見て大きく溜息を吐く。
こんなことになるなんて本当に想像していなかった。
ニヤニヤと笑うお兄ちゃんを無視し、カカシ君が待つ客間に、私は振り返り、ペタペタと歩く。
カカシ君は、今どんな顔してるのだろう。
作戦成功で、笑って満足そうにしてるんだろうな、多分凄い喜んで、嬉しそうなんだろう、と、笑うカカシ君を想像しながらドアを開けてみた。
カカシ君は真っ直ぐに姿勢を正し、正座でずっと座っている。こちらには見ないで前を向いている。
何も言わない後ろ姿の彼に、先程の書類の話をしたくて私は声を出して自分の意見を述べた。