第16章 挨拶
夕方五時ごろ審判が下るように待っている。あんな調子じゃ門前払いみたいにあしらわれて、カカシ君……泣いてるんじゃないだろうか。
お父さんキツイし……もしかしたら、私、見合いしろとか言われるんじゃないかなー、嫌だなー…。
ずっと立ったり座ったり、ソワソワしっぱなしで憔悴を募らせ、落ち着かなかない。恐くてずっと心臓がドクンドクン五月蝿かった。
その時、やっと客間から声が聞こえ、
スーーと重い扉がゆっくり開けられた。
私は急いで客間に行こうと寄れば、
お父さんが先に出てくる。私に気づき、こちらを見た。
父の表情は正にげっそりとお疲れだ。
まさに死屍累々のようで、くたびれた姿を醸し出している。
「お、お父さん?」思わず声をかける。
はぁーーー……と大きく溜息を吐き、私をみて、カクンと頭を下げた。こんな父を私は見たことがない。
本当にどんな話をしたんだろう。狼狽した気持ちで父の答えを待ってば、やっと重い口を開けた。
「おまえは、カカシ君のどこが良いんだ?」
「え"え"?何いきなり……」
「良いから答えてみろ」間髪を入れずドスを聞いた声で言われ、恥ずかしがりながら父に視線を合わせた。
「えーと、優しくて格好良くて、スマートで、私を大事に考えてくれて、頼り甲斐があるところ。いつも私のことを一番に考えて、好きでいてくれるところかな。」
唐突にかけられた問いに、私は頭をフル回転させて素直に答えれば、父は一度目を閉じ、目頭を押さえ、諦めたようにさらに喋りだした。
「カカシ君はその答えを、お前が答えた内容の十倍ぐらい答えたぞ。」
「………は?えー…いや、それは…嘘だぁ……え?…嘘…」
豆鉄砲食らった鳩みたいな顔をしていれば、父はまだ質問を辞めない。