第16章 挨拶
「カカシ君ってさ、結構……イケメンよね、花奏、今から将来楽しみね、多分もっと格好良くなるんじゃないかな。」
「お母さん、全然さっきと話が違うじゃない。」
イラつくように母をピシャリと言う。
「お父さんの顔を立ててあげないとマズイでしょ?最初はえーー⁈って思ったけど、あなた達二人のやり取り見てたらどっちが大人だか分からないぐらい、しっかりしてるし、真面目よね。」
「うん、絵に書いたように真面目な人だよ」
カカシ君を思い浮かべて話す。
「だからこそ、お父さん、今だってカカシ君を追い出さないで話をちゃんと聞いてあげてるでしょ?少しぐらい文句言わしてあげなさいよ、あなたのお父さんなんだから。心配なのよ。」
「いやだからってあんな言い方……」
そう言おうとした時、兄の気配を感じた。
ガラガラーー……
玄関のドアを開ける音が聞こえる。
「ただいまーー…あれ花奏?あと、誰?」
何やら独り言をブツブツ言ってる男性の声がする。私の兄である。細身でスラリとし、男にしては少し小さく、今のカカシ君と同じぐらいの身長だ。
「お帰りーお兄ちゃん。長期任務ご苦労様でーす。」
私がリビングから大きな声を出した。
スタスタとリビングに入り、私を見ればさらに不思議がる。
「おー、久しぶりだな。また来週には出るけどね……誰が来てるわけ?」
「花奏の婚約者が来てるのよ、カカシ君って子。お兄ちゃんも知ってるでしょ?花奏がずっと面倒見てあげてた子。」
母がきっぱり言えば、兄が心底驚く。
「え⁈マジかよ、カカシかよ!えーー、アイツ、オレが暗部にいるとき、一緒に任務してたのに何も言ってなかったぞ。あー、なるほどね。だから全部お誘い断ってたわけね。」
「はーー??何よお誘い⁈⁈聞いてないよ!え?お兄ちゃんと暗部の仕事、被ってたっけ?で、誰よ誰よ⁈」
グイグイ迫り来る私に堪らずに兄は嫌な顔をした。
「年上の暗部の綺麗なお姉さんに決まってんだろ、あんなイケメンほっとくかよ。オレが隊長の時だから一年ぐらい被ってたかな。んーー、挨拶してくる。」
「ちょ、ちょいとお兄ちゃん??ま、待って待って、今行ったら火に油……。あーあ、入っちゃった…。」
兄は客間に恐れもせずにズカズカ入っていった。あまりに兄が積極的で私は呆気に取られた。