第16章 挨拶
「ごめん。黙ってて……」
あちゃー…カカシ君、めちゃくちゃガン見してる…後が恐いな……
二人の姿に大きく溜息をつく父。
「カカシ君、花奏は今二十五歳だ。結婚適齢期なんだよ。いつでもお嫁に行ける年齢だ。俺は二十二歳で結婚したが、それでも男では早いと言われてきた。君はまだ十五歳、いくらでもやり直しが効くが、花奏はやり直し出来る年齢じゃないんだ。子が失敗するのが目に見えるような事を、親ならわざわざさせたくないんだよ。」
「いや、そんな事わか…」
「花奏さん!」
カカシ君が少し間を空けて私をじっと見た。
「少し黙って」
くるりと向きを戻すカカシ君。
「市川さんと二人だけでお話しさせてください。お願いします。」
カカシ君が父に頼み込む。
「……ああ、コイツがいたら五月蝿いからな。ーったく、なんなんだ、今日は。」
父が母にサインを送って追い払った。
「花奏さん、ごめん少し時間ちょうだい。話をするから。」
「カカシ君…」
「頼むよ、ね?」
その声はいつになく、低くキツイ。
「わかったよ、お父さん、あんまり酷い事言わないでよ?!」
「早よ行け!!」
シッシ!とポーズを取られ、
父親を軽く睨みながら席を立ちドアを閉めた。