第16章 挨拶
予想はしていたが、話し合いの冒頭から、私の両親が荒れに荒れた。特に父は酷い。
父親は、満五十歳の元上忍、今は隠居した酒飲み親父が、十五歳の若い青年をひたすら罵倒する。
お母さんは軽く私を叱咤するように睨んだが、その後はカカシ君をずっと見て、意外と何も言わずに黙って座ってる。
お兄ちゃんはまだ長期任務から帰ってきてないらしい。今日帰って来るようだ。タイミングが良いのか悪いのかよく分からない。
恰幅の父親と、少し体型が戻った専業主婦の母、そしてカカシ君、私が同席している。
和室の客間の、四角い木の長机で対面するように座ればまさに反省部屋状態。
父は先程から何回も何回もわざとらしく溜息を漏らし、げんなりした様子だ。
私のお父さんは、「今日は飲まんとやってられない」とカカシ君が買ってきた麦焼酎をグイッと飲み出した。
これは危険だと母に合図を送るが知らん顔をしている。
「カカシ君、何回も言わせてもらうが、君はまだ十五だろ?わざわざ十歳も年上のコイツを選ばなくていいんじゃないか?君はまだ若いんだ。いくらでも他にいるだろう?今だけそう熱く感じるだけで、他にも目を向けたらどうだ?」
「いえ、今日はご挨拶に来ただけです。しかしながらオレ……僕は花奏さんを本気で大切に思っています。それだけはご理解いただけませんか?」
父の案を遠慮しながらも、カカシ君は決して引かないし譲らない。
「ハァーーー……だいたい花奏!なんでカカシ君に手を出したんだ、絆されおって、馬鹿か。おまえは保護者として彼に接してきたんだろ?弟みたいだから大丈夫と言ったのを俺は覚えているぞ!」
「ひッ……!いや、そうなんだけど、カカシ君はしっかりしてるし、絶対浮気しなさそうだし、大丈夫かなーとか思って。」
「馬鹿野朗!まさか、おまえ結婚なんか興味ないとか言って今までの見合い話、全部断ってたのは、これが原因か!」
「ゔッ……えっとまあ全部が全部じゃないけど、まぁ、はい……当たりです。」
「ええっ??!!」
カカシ君があんぐりした表情で見つめている。今も口布を取っているから何を言いたいかすぐに分かった。