第16章 挨拶
「あのお父さんはとりあえず、ビールか麦焼酎を買っていけば、まずご機嫌になるよ。」
ズバッとカカシ君に言う。
「花奏さんのお母さんは?」
母まで気にかけるなんて、本当にカカシ君は大人だなぁと、私は思う。
そしてさらに
自分の母が喜ぶ助言を彼にする。
「お母さんはねー、最近年取ってメタボで注意されて、ダイエットして体型気にしてるから、絶対甘いものはダメだね。やっぱビールでいいと思うよ。酒も太るのに、止めれないんだって。あと、おつまみのカシューナッツとか、ピーナッツがあれば最高じゃない?」
流暢に喋る私をニコリと笑みを浮かべ、カカシ君は見ていた。
「ありがとう、花奏さん、助かるよ。ここでお別れしよう。お店で手土産を買ってくるから。」
「カカシ君、道分かる?大丈夫?」
「うん、花奏さんのご実家の場所を知ってるからね。花奏さんは先に帰って、オレが今から行く事を伝えて。だけどそれ以外は一切言わないでくれる?」
カカシ君が少し凄みを入れて口止めをする。空気が一瞬張り詰めたように感じた。
「うん、わかった。余計な事は言わないよ。大丈夫だから」
「ありがとう、花奏さん。お願いします。」
まじめな顔を覗かせ私を見つめた。