第16章 挨拶
朝御飯のパン、ヨーグルト、コーヒー、スクランブルエッグ、プチトマト
食卓に着き、向かい合わせで、いつもの定位置で仲良く朝食を食べる。
カカシ君からの情事のせいで色気がまだ抜け切れていないのか、何故かわからない、今彼がキラキラ輝いてみえて仕方がない。
朝の光を浴びてるせいだとわかっているけどつい、見惚れてしまう…カカシ君はどんどん顔つきが変わり格好良くなっている。
口もとのホクロが、あんなにチャーミングに見えていたのに……色気を漂わす印みたい。
頭がお花畑状態の二十五歳の女に叱咤するように、カカシ君が少しまじめな顔をする。
「花奏さん、今日これから、あなたのご両親にご挨拶に行きたいと思います。」
「ブッ…!!コーヒー吹く…ゴボゴホ…ゴホン!あー、変なとこ入った…ど、どうしたの、急に…」
私は返事に困ってしまう。
まさか婚約した翌日に十五歳の少年が言い出すとは微塵もなく、大人すぎる彼に呆然とする。
だけど流石にまだ早い——私は話を続ける。
「カカシ君っていつも用意周到じゃない?こんな奇襲をかけるように今日行かなくてもいいんじゃない?あーでも今日休日だから、いてる事はいてるけどね。」
「先に言えば、きっと反対して会ってくれないと思うので、ケジメもあるし先手をご両親に打ちます。」
カカシ君はきっぱりと言う。
私の両親とは、彼が七歳の小さい頃に数回会ったことがある。そんな時はまさか数年後、婚約してるとは思わない。兄はいるのかな、最近全然会わないな。
「オレが逆の立場なら反対するからね。十五なんてまだまだガキでしょ。」
「う''……もしね?もしだよ…本当に反対されたら?」
「そうなれば、今まで通り誕生日とクリスマスしか会わないよ。ソレもダメだって言われたら従う。そのかわりオレが休みの日は定期的に花奏さんのご実家に通うよ。」
カカシ君が少し間を空けて声を出す。
「うんざりするぐらいね」
"うんざり"って言葉を口にしたカカシ君は、鋭く目に光りを放ち決意を固めている気がした。