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【NARUTO】いちばん近くて遠いひと

第2章 七歳


コンコンコン……

小さなノックの音が、十七歳独身一人暮らし、木造築三十年のアパート玄関から響く。

時間は夜の六時丁度、今夜も蒸し暑いが、部屋より外の方が過ごし易い日々が続く今日この頃。

茹でたてのざる蕎麦を、ザルを使い氷水で冷やしていると、いつものように、小ちゃな訪問客が現れる。

私は綻ぶ口元を隠さず、ニヤニヤして玄関のドアを開ければ、ふくれっ面の赤く頬を染め、口布を外した美少年が現れる。

口元のホクロは、この七歳男の子の、可愛いチャームポイントだ。しかしながら、なぜか、少年は直ぐに隠してしまおうとするのだから、勿体ない。

「なんで口布しちゃダメなんですか!」

「口布をして私の敷居を跨ごうなんて百万年早いのよ。絶対ダーメ。こんな可愛い顔して見せないなんて、許さないんだから!カカシ君は女の敵よ!」

「花奏さんは、もー、意味が分からない!!」

プンプンして玄関の靴を脱いで、いつも通りのソファに夕食が出来るまで腰かけた。

小さな旦那様に、使用人の女は今日の献立をいつものようにお伝えをする。

「今日はね、ざる蕎麦とーサラダとーご飯とー天ぷらと、あとコロッケ。」

「オレ天ぷら嫌いだって言ったでしょ?」

「天ぷらはワーターシの。カカシ君はコロッケだよ。ふふん、天ぷらが食べれないなんて人生の半分を損してるわね。」

「花奏さんだってイクラ嫌いじゃない。あーーんなに美味しいのに食べれないなんて可哀想ーー。」


ーーコヤツめ…また腹立つ言い方を!イクラは昔は食べれたけど、食べ過ぎて気持ち悪くなって、そっから食べれないなんて、あーなんて悲しすぎ!!

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