第1章 はたけサクモ先生の葬式
そんな可愛い小さな小さなカカシ君を、抱きしめたい衝動に突如襲われてしまう。
クスクス笑う私を不思議そうに見つめる可愛い弟を、さらに可愛いく感じ、触りたくて、悶えてしまう。
「ふふ、ねぇ?少しだけだから、ごめんね?」
「…えっ⁈⁈ちょ、…わ!」
ギュッとカカシ君の身体を抱き寄せて私の腕の中に無理矢理入れ込んだ。
やっぱりこれは駄目らしくて反発したけど、聞こえないフリをして強く抱きしめ
た。
カカシ君の身体に触れるだけで伝わる。
暖かい人の温もりを……。
「花奏さん⁈⁈止めなよ!皆見てるって!…………………花奏さん?」
「ごめん、少しだけ…許して……。」
涙が溢れて止まらなかった。
「大丈夫。何にも心配無いから。絶対あなたを一人になんてしない。私が横にいるよ。だから、大丈夫だよ。無理しないで、ずっと、ずっと、あなたのそばにいるよ。」
カカシ君に、安心してほしくて言ったはずなのに、いつの間にか、自分にも言うように喋っていた。
ーーサクモ先生……、あなたはどうしてこんなに可愛いくて将来有望の、大事な大事な一人息子の、カカシ君を残して、どうして、独りきりで逝ってしまったの……。
私はこの小さな男の子よりも、ずっと、ずっと年上なのに、止まらない涙をひたすら流して、カカシ君を困らせてしまっていた。
耳まで真っ赤にして恥ずかしがる男の子は、私の声と私の気持ちに気付いたのだろう、じんわり涙を流し、私を受け入れていた。