第11章 特別な誕生日
「花奏さん、コレ、オレの誕生日じゃないでしょ?もー、オレの好きなものばっかじゃん。今度、どこか花奏さんが好きなお店に食べに行こうよ。こんなの絶対悪いから、ね?そうしよ?」
閃いたように明るくニコニコ言うカカシ君に、私は一気に否定する。
「え!?いいよ!いいよ!!私も肉じゃがとかハンバーグとか秋刀魚の塩焼きとか好きだし。カカシ君こそ気にしすぎだよ、今日はコレが食べたかったの。だから気にしないで!」
「……ええ⁈!…何で全力拒否してるのよ、もうー…花奏さん、行こうよ。オレ奢るよ?」
「え⁈⁈いい!余計に悪いからいい!申し訳ないからいいって!気にしないで!」
迷惑なんか、かけたくないから一生懸命真っ赤になって否定した。
私はカカシ君と目線が重なれば、たちまち顔が緩んで困ってしまう。
とにかく恥ずかしくて話なんかほとんど聞かずに否定していた。
カカシ君は、私を不機嫌そうに、ジーーーと見つめてる。
次の瞬間、口元を緩ませ、ふふっとなぜか笑った。
気がつかないマヌケな私にカカシ君は口を尖らせ、不機嫌な理由を言った。
「花奏さん、オレ、今度デートしよう?って言ってるのにー……そんなにオレといくのが嫌?」
「…え?でぇーと?デート?!嘘…え、待って、待って、何いきなり…!」
「あ、でもまだエッチしてないから無理だね。後でいっぱいしようね。」
「っ!!や、め、ようよ、カカシ君、そういう事いうのは…!」
サラッと流すように言いながらカカシ君は料理を運んでいった。
私の話は全然聞いてないしクスクス笑ってる。真っ赤になって私は、彼との会話から逃げるように料理を運んだ。
さっきから、ずっと彼は余裕だ。
私は全く余裕がない。
今までここまで形勢が逆転した事はない。
こんなに余裕がないなんて、
私は困りはてていた。