第10章 十五歳 誕生日
「ち、違う!これは…違う、見ないで!」
バッと後ろを向いて、手でパタパタと顔を仰ぎ急いで火照りを冷やそうとした。
「隠さないでよ、嬉しいんだから。初めて花奏さんがオレを求めてるんだから、嬉しいよ。」
背後からギュッと包み込むように抱きしめられ、瞬く間にビクっと身体が反応する。
「んん、カカシ君…!!」
お風呂上がりの彼のシャンプーの匂いや、彼の匂いを久しぶりに真近に感じて反応していた。
男のカカシ君に初めて触れた瞬間だった。
「やっとオレのこと男として見たね。良かった……花奏さんの誕生日で、オレはあなたを抱くから。」
「えっ!!?…ぁ、んん!」
カカシ君が背中から抱きしめたまま、耳元で囁くから、変な声を出していた。
背後からイタズラする子供みたいにクスクス笑ってる。
「花奏さん、送るよ。疲れた顔をしてる。オレの為に来てくれてありがとう。このシルバーのネックレス大事に使うよ、ありがと。」
私のあげたプレゼントをすでに身体に身につけて、大事そうに触るカカシ君。
「ううん、そんな事……」
「花奏さん、こっち向いて?」
「ん?何、…………んっ……!」
ーーカカシ君……好き…やっぱり大好き
抱かれた力が緩まり、振り向いた瞬間、狙われていた唇は簡単にカカシ君に捕まってしまう。
甘い口づけをされてトロンとして彼を見ていた。その姿にさらに微笑んで嬉しそうなカカシ君は、唇を離してまたクスクス笑ってる。
「じゃあ、送るよ。」
「え?ああ、うん。」
「ふふ、今日はもうしないよ、オレを簡単にあげない。」
「っ!!何言ってるの!!違うって!」
手を繋いで送ってくれた間、ずっと否定していたのに、全然聞かないし笑ってばっかのカカシ君。
だけど彼が、自分の誕生日に、こんなにも笑った姿を私は見た記憶がない。
だから本当は、凄く嬉しかった。