第10章 十五歳 誕生日
私はまったく気づいていない。
まさに完全に無自覚で、この発言をしている。
「カカシ君は男なんだよ、私は女なの!分かってる?」
「うん、それは前から分かってる……分かって……ふふふっ…アハハハ!」
その言葉に堪え切れず、カカシ君が笑い出して、ケラケラ可笑しそうにしている。
その姿に私はムカッ!と怒った顔をしたのに、全然笑うのを止めない。
「ちょっと笑わないでよ!止めてよ!」
「だって花奏さんったら、可笑しいんだもん!!アハハハ!」
「だから、笑ってないで……」
もう一度、静止の言葉を言おうとしたけれど、今度は逆に彼が笑うのを止めて欲しくなくて口をつぐんだ。
「絶対気づいてないんだもん!あー可笑しい!!アハハハ!」
カカシ君が、くしゃくしゃの笑顔で笑っている。ドキンっと心に響いて嬉しくて私もつい笑った。
小さい時のあの頃の笑顔のままで、今彼が笑っている。もういなくなったって思ったのに、カカシ君が笑えば、あの頃のカカシ君が垣間見えた。
「カカシ君……」
その姿に涙が出るほど嬉しくて愛しい感情が溢れ出す。
抱きしめて、ギュッてして、撫で撫でしてキスをしたい、それ以上をしてみたい……そんな欲望が溢れていた。
「カカシ君、笑ってる。笑った顔が私は好きだよ、大好き……。」
「ふふ…、え?だからオレだって笑うって………っ!!!」
カカシ君は私の表情を見た瞬間、ビクっと身体を揺らしてしまうぐらい驚いた姿をしている。
「花奏さん……あなたは無自覚過ぎるよ。だけど、最高…今の顔どんな顔してるか気づいてないでしょ??」
「…え?抱きしめたいって顔してるでしょ?昔みたいに。」
「違うよ、さっきからずっと、オレが欲しいって誘ってるエロい顔してるよ。やらしい。」
「っ!!!ち、違うよ!そんなやらしい顔してない!」
顔を手で抑えれば、熱く火照り息が少し荒い自分がいる。彼に初めて欲情していた。