第9章 十四歳
クリスマスイブは、ホテルのレストランで夕食を食べているが、お会計は既に予約の段階で払い終わっていた。
「ダメだって!私が払う!」
「もう終わってるから良い。」
私が何度もお金を渡そうとするのに、決して受けとらなかった。
クリスマスプレゼントをどちらも約束していないのに、私たちはカップルのように用意していた。
カカシ君は茶色の手袋を。
私は赤いマフラーを。
カカシ君は、どんどん成長していく。
私の誕生日からそんなに経っていないのに、また背が伸びて、もう完全に私を追い越している。
まだまだ成長途中の彼はこれから更に伸びていく。
声変わりも始まり、カカシ君はますます大人になっていく。
小さなカカシ君が
大人のカカシ君に
変わっていく。
その様子を私だけが、素直に喜んでいない。
今もあのときの彼を、
私だけが、引き止めている。
私は最初、母親が子供を想うように
十歳離れた弟が出来たように感じていた。
いつの間にか感情が変化している。
それが
対等な男性に向けた想いなのか
ずっと疑問に感じている。
カカシ君が好きなのは変わらない。
会えば抱きしめたいと感じるし、そばにいたいとずっと願っている。
来年の私の誕生日は、もうカカシ君は十五歳になっている。
お別れを言って家まで送ってくれたカカシ君をずっと見ていた。
ずっと、私は
あれから
今も悩みつづけている。
答えを探し続けている。